【制作の舞台裏 vol.1 】縫製業にはトラブルは付き物です。
縫製業には仕様書や図面通りに出来上がってこないトラブルが付き物です。
こんにちは。
日本製 オリジナルデザイン バッグ・財布 ブランド
イントロダクション
オーナー バッグデザイナーの 工藤友里です。
新型の生産時もですが、
ずっと作り続けている定番商品でも、色々仕様が違うバッグ、財布が出来上がってきます。
慣れない人は、
「どうしてー!ちゃんと仕様書、図面に描いてるのにー!」と思うでしょうが、
バッグ業界に関わらず、縫製業には付き物。
どう製品として組み上がる(縫製して仕上げる)前に、阻止できるかにかかっています。
それも今回はこの箇所なのに、次の追加発注時には、
また違う箇所でトラブルが起こったりは、
日常茶飯事。
よくあるのが、配色間違い。
←付属のポイントカラーの場所を間違えて革を裁断したり、
裏地の色を組み違えたり。
イントロダクションでは、裏地の色を、
様々な色を使うので間違いやすいし、ミシン糸もその都度色を変えないし、ファスナーポケット色も別々に発注しないといけないから、裏地を統一してほしいとは、散々、各工場から言われてきましたが、
このデザインのこの面の革には、この裏地の色がベスト!と思って、国産の発色のいい裏地を数十色使い分けするのは、止める気ありません。
お客様にとっては、唯一無二の1本、
中を開けるたび、テンション上がる裏地の色にも拘っていきたいのです。
そして、革のロットによる色ブレ。
同じハグチで裁断しないと、製品になった時、
隣接する革色同士の色の違いが気になる場合があります。
これは顔料を厚化粧させた革では色ブレは気になりにくいですが、素材を生かした薄化粧の素上げ調の革になると、染める前の下地の色の違いもあり、ハグチが違うと隣接して縫い合わせると、気になることもでてきます。
これは、革屋の腕の見せ所もありますが、
裁断士の腕の見せ所、
パーツを組み上げて縫製する職人の腕の見せ所でもあります。
そして、1番は、職人に手配しているメーカーの生産管理が、
「あっ、これは生産とめて、ブランドに確認した方がいいな」とわかるブランドの審美眼を理解しているかどうかにかかってきます。
ミシンを真っ直ぐに縫う。
などは、わかりやすい美意識ですが、
上手にまとめあげる始末の仕方や、
この違いは、このブランドでは通らないという、
ニュアンスが汲み取れるかどうか。
これは、各メーカーと、
しばらく物創りをしていく中で、お互いの呼吸を合わせていく作業なので、
1.2回発注していくと、これから先、
すり合わせがしていける相手かどうかはわかってきます。
全ては誠意があるかどうか。
長いスパンで、パートナーとして仕事を積み重ねていける相手かどうか。
もちろん、発注側も、四角四面な正論を言っていても、
前に進まないので、
いかに着地させていけるか。
譲れない部分と、工夫で乗り越えて着地をみつける部分との見極めが大切になってきます。
納期がタイトな場合もあります。
相手のことをどう理解しようと耳を傾けていけるか、
お互いの間にある1本のバッグ、財布が出来上がるまでには、
プロとプロとの仕事の受け渡しがあるのです。
全てはお客様に満足していただけるクォリティの物創りをしていくために。
写真は今週、メーカーさんが、
ロゴを素押しで発注しているのに、職場が金箔押しにしてたので生産止めて、再度そのパーツだけのやり直しのために革屋に新しい革を買いに行き(追加で革が欲しくても在庫ない場合もあり)組み上げる時に、
色ブレがないか、製品にしていけるか判断してくださいと、車を走らせてきてくれた図です。
自分の仕事に責任感を持っている人から人へ。
バトンが渡されるのです。