「デザインが本当にできるようになるには、10年はかかる。」オーナーデザイナーから教えられたこと。
こんにちは、
オリジナル バッグ & 財布ブランドINTRODUCTION
オーナーデザイナーの工藤です。
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初めてバッグの会社に就職したのが、1989年。
平成元年なので、今から26年前でした。
当時、仕事をしながら通っていた夜間のデザインの専門学校の先生から、
「素敵な女性がいるから話を聞かせてもらったら?」と、
日本のバッグ業界の草分け的なオーナーデザイナーを紹介していただきました。
バッグに特に興味があったわけではなく、
漠然とイラストレーターになりたいなあと思っていた私に、
その社長は、いろいろな話をして下さいました。
「何になりたいの?」
「まだ、よくわかりません。」
「こうなりたいという方向があれば、
いずれはそちらに近づいて行ける。
途中台風が来たりで遠回りして時間かかっても、
諦めなかったら、近づいていけるものよ。」
その後、何度かお会いして、ひょんなことから、
そのバッグ問屋に就職することになりました。
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初めからバッグのデザインをしていたのではなく、
数年経った時、
「バッグのデザインしてみない?」と、
デザイナーを探していたのは知ってましたが、
何の基本もない私に声をかけて下さいました。
「私に出来るんですか?」
「仕事が好きで素直ならできるようになっていく。」
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本当だと思います。
どんな仕事もそうだと思います。
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「物を創れるようになるには、血が入れ替わらないとできていかない。」
「デザインが本当にできるようになるには、10年はかかる。」
「器用でない方がいいのよ。
器用な人はサッとできてしまうけど、
不器用な人がああでもない、こうでもないとやっていくうちに、
その人でないと出来ない道、味が出てくるのよ。」
「デザインは、お客様の何となくの感覚の部分をきちんと分析できてわかって、
かたちに落とし込んでいかないといけない。」
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本当だと思います。
そのオーナーデザイナーからは、在籍中の12年、
会社を離れてから今日にいたるまで、
数えきれないたくさんの事を教えていただきました。
社会に出てからの、私のお母さんです。
デザインというより、
それ以前の物の捉え方、
取り組む姿勢を長い時間をかけて、育ててもらいました。
一昨年、76歳まで現役デザイナーでおられたその方の背中に少しでも近づけるよう、
弟子として、その方に恥をかかせないような仕事を今日もきちんとしていきたいです。
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そして、私も若い人に時代が変わっても普遍的な、
時間をかけないとできていかない大切な部分を
伝えていけるような人間になりたいです。